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作成者: きりしま

きりしま 40代半ば。これまでは米国株や金など、インデックス積立投資を中心に、合理的な資産形成を行ってきました。 しかし、これからはもっと主体性を持った投資がしたいという想いから、日本株の個別株投資に挑戦しています。 このブログは、企業が持つ「想い」や「ぬくもり」、そして価値を、自分の頭で悩み、考え、長期で応援していくための「思考ノート」です。 専門的な分析はできませんが、銘柄選定の理由や売買の意思決定をすべて言語化し、自分の判断力を磨くための「日誌」として活用していきます。 【投資方針】 対象: 日本株の「割安でありながら、将来の成長性も期待できる銘柄」 期間: 5年、10年といった超長期での保有を前提とした投資 どうぞ、よろしくお願いいたします。
「自分の分かるビジネス」に集中したら、日本株ポートフォリオの資産の6割が不動産(REIT)になった理由

「自分の分かるビジネス」に集中したら、日本株ポートフォリオの資産の6割が不動産(REIT)になった理由

私の投資の中核は、S&P500やNASDAQといったインデックスファンドです。これらを通じて、市場を席巻するAIや半導体トレンドの恩恵を享受しています。

このブログで扱っているのは、インデックス投資を「補完」するための、個別株・アクティブ運用のポートフォリオです。

この枠での私のポリシーは「自分の能力の輪(Circle of Competence)の中で戦うこと」

現在のポートフォリオは資産の6割が不動産(REIT)という「歪(いびつ)な構成」になっていますが、そこには「なぜ今、あえてテック個別株に行かないのか」という明確な理由と、次に見据える課題があります。

1. 最新ポートフォリオ(個別・アクティブ枠)

現在の保有銘柄と構成比率は以下の通りです。

【資産構成比率】

  • 個別株(小売・IT・サービス):約 37%
  • 不動産(J-REIT):約 63%
コード銘柄名業種構成比率備考
1343NF J-REITリート38.1%東証REIT指数連動(セクター投資)
8985ジャパン・ホテル・リートリート25.1%ホテル特化型(物件が見える)
3349コスモス薬品小売16.0%九州地盤ドラッグストア
7683ダブルエー小売5.6%婦人靴SPA・AI管理
2303ドーンIT5.1%地理情報システム(GIS)
3382セブン&アイHD小売4.5%コンビニ・再編期待
4732USSサービス3.6%中古車オークション
3835eBASEIT1.9%商品DBソフト

2. なぜ今、半導体・電子部品の「個別株」を持たないのか

世間では「AI時代の覇者」として、半導体銘柄や、それを支える日本の電子部品・電材メーカー(TDK、村田製作所など)が大きな注目を集めています。「AIサーバーには日本のコンデンサや積層セラミックが不可欠だ」というプレゼンテーションも数多く耳にします。

しかし、私はあえてこの分野の「個別株」には手を出していません。その理由は、私自身の「解像度の低さ」にあります。

  • 表面的な理解: 「AIに関連している」「すごい技術らしい」ということは分かります。
  • 欠けている視点: しかし、「その部品がAIのどこに使われていて、競合に対してどれほど支配的(代替不可能)なのか」までは、自信を持って説明できません。

「有望らしい」という空気感だけで投資するのは、私のポリシーに反します。どこでどう使われているか、そのビジネスの堀の深さを腹落ちするまで理解できていないため、現状はテック系への投資はインデックス(NASDAQ等)に任せるという判断をしています。

一方で、現在保有している個別株(小売・IT)は、「どうやって儲けているか」「技術的優位性は何か」が明確に見えている銘柄に絞り込んでいます。


3. なぜ資産の6割が「不動産(REIT)」なのか?

テック個別株への投資を保留している分、資金の向かう先は「割安」かつ「理解できる」対象となります。それが現在の不動産(J-REIT)への偏重(約63%)に繋がっています。

① 市場の歪みを突く「NF J-REIT」(インデックス)

日経平均が歴史的高値にある一方、J-REIT市場は出遅れており、NAV倍率(純資産倍率)で見ても明らかに割安と判断しています。「株式に対して割安に放置されている不動産セクター全体」への投資として、ETFを大きく組み入れています。

② ビジネスが見える「ジャパン・ホテル・リート」(個別)

こちらは個別選定です。ホテルリートは物件や稼働状況が可視化しやすく、「インバウンド需要」という成長ドライバーも明確です。「中身が理解できる」かつ「割安」という条件を満たしているため、主力として保有しています。


4. これからの課題:解像度を高め、不動産から「テック個別株」へ

現状は「分からないテック」を避け、「割安な不動産」で守りを固めていますが、これを最終形にするつもりはありません。今後は以下のステップでポートフォリオを進化させていくことを課題としています。

① REITの利益確定

現在保有している伊豆の実物不動産やREITについて、市場の歪みが是正され、適正価格に戻ったタイミングで確実に利益確定を行います。

② テック・素材産業の「解像度」を高める

利益確定した資金の移動先として、これまで手を出せなかった「半導体・電子部品・電材」の個別株をターゲットにします。

これからの私の課題は、単に株を買うことではなく、「例えば、レーザーテックや村田製作所といった企業が、AIサプライチェーンのどこで、どれほどの支配権を持っているのか」を徹底的にリサーチすることです。

まとめ

「現在はインデックスでテックの波に乗りつつ、個別枠では『理解できる不動産』で利益を積み上げる。そして次のフェーズでは、その資金を使って、解像度を高めた『日本のテック・素材企業』への個別投資に挑戦する」

これが、私の投資戦略の現在地と、これから取り組むべきアクションプランです。


免責事項

本記事は筆者個人の投資方針を述べたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

yutori (5892) を一度売却した理由と、買い直すための「適正水準」。2,000円台でもまだ手を出さないわけ

yutori (5892) を一度売却した理由と、買い直すための「適正水準」。2,000円台でもまだ手を出さないわけ

株式会社yutori (5892) の株価は、上場来高値の6,000円台から、現在は2,000円台まで調整が進んでいます。 ピーク時から3分の1近い水準となり、「さすがに安くなったのではないか?」と監視リストに入れている方も多いのではないでしょうか。

実は、私自身もこの銘柄には強い思い入れがあります。 半年ほど前、実際にyutoriの株を保有していました。

yutoriという企業自体は大好きです。 SNSを駆使して在庫を極限まで回転させるビジネスモデルは革新的ですし、何よりそれを実行している「人材の熱量と質の高さ」は、他のアパレル企業にはない素晴らしい武器だと感じていました。

しかし、私はその後、全ての保有株を一旦売却しました。 企業として魅力的であるにもかかわらず、なぜ手放したのか。そして、暴落した今、なぜまだ買い戻さずに「監視」を続けているのか。

今回は、ファンだからこそ冷静に見ている「再エントリーの水準」について、私の個人的な目線を共有します。


1. なぜ、好きな企業を売ったのか

私が半年前に売却を決断した理由はシンプルです。「株価が、実力(利益)を追い越しすぎてしまったから」です。

当時の株価は、上場直後の熱狂と「将来への特大の期待」が織り込まれ、バリュエーション(PERなどの指標)が許容範囲を超えて上昇していました。 「素晴らしい会社だ」という気持ちと、「投資としてこの価格は正当化できない」という冷静な判断を天秤にかけ、泣く泣く利益確定(売却)を選びました。

現在の2,000円台への下落は、その時の「熱狂」が落ち着き、ようやく「現実的な事業評価」の入り口に戻ってきた段階だと捉えています。


2. 2,000円台でも残る「割高感」

「大きく下がった今なら、買い戻してもいいのでは?」 そう思われるかもしれませんが、私はまだ動いていません。

理由は、現在の2,000円台という株価でも、予想PERは依然として30倍〜40倍程度だからです。

  • 一般的なアパレル企業のPER: 15倍〜20倍
  • yutoriのPER: 30倍超

yutoriは高成長企業ですが、ビジネスモデルは在庫リスクを伴う「アパレル」です。IT企業のような利益率は出にくい構造です。 今の株価には、まだ「今後も驚異的な成長が続き、一切の失敗も許されない」という強い期待(プレミアム)が乗っています。

一度保有していたからこそ分かりますが、このプレミアムが乗っている状態での保有は、決算のたびに心臓が痛くなるような緊張感を伴います。 私としては、もう少し「安全域」が確保できるまでは、外から見守るのが賢明だと判断しています。


3. 私が狙っている「買い戻し」水準

では、具体的にどこまで下がれば、再び株主になりたいか。 あくまで私個人の目安ですが、以下のように考えています。

【ターゲット目安】 株価 1,500円前後(PER 20倍〜25倍水準)

ここまで調整して初めて、再エントリーを検討します。

この水準の根拠

アパレル業界の平均PER(15倍)に、yutori特有の「成長力」と「人材力」への期待値を少し上乗せして、PER 20倍〜25倍なら許容できるという計算です。

現在の2,000円台後半から見れば、あと30%〜40%程度の下落余地があることになります。 「そこまで下がるのか?」と思われるかもしれませんが、成長株の調整局面では、熱狂が冷めると一気に適正PERまで修正されることが珍しくありません。


結論:愛しているからこそ、適正価格を待つ

yutoriは、中長期的には日本のファッション業界を変えるポテンシャルがある、本当に面白い会社です。 だからこそ、高値掴みをして含み損に苦しむのではなく、「自信を持って長く持てる価格」で買い戻したいと思っています。

私のスタンスは変わらず、 「今はまだ注視。1,000円台半ばが見えてくるまでは、焦って手を出さない」 です。

もちろん、明日から急反発して置いていかれるリスクもあります。 しかし、一度利益確定できた余裕を持っていますので、焦らず、自身の規律(ターゲットプライス)に来るその時を、じっくり待ちたいと思います。


免責事項 本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。

【企業分析 Part 2】アパレル・靴小売5社の「割安性」分析:ROICに見合う株価がついているか?

【企業分析 Part 2】アパレル・靴小売5社の「割安性」分析:ROICに見合う株価がついているか?

前回の記事では、アパレル・靴小売5社(ダブルエー、yutori、ABCマート、ファーストリテイリング、パルグループ)のビジネスモデルをROICツリーで解剖し、各社の「稼ぐ構造」の違いを明らかにしました。

しかし、株式投資において「優秀な会社(高ROIC)」が必ずしも「今、買い(割安)」とは限りません。優秀な会社には、それ相応の「プレミアム(高い株価)」がついていることが多いからです。

本記事では、前回分析した「実力(ROIC)」に対し、現在の「株価評価(バリュエーション)」が適正かどうかを、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を用いて冷静に分析します。


1. バリュエーション比較一覧

まず、各社の主要な指標を並列比較します。(※数値は直近の市場コンセンサスおよび実績に基づく概算値)

企業名ROIC (実力)PER (期待)PBR (資産評価)配当利回り企業規模
ファーストリテイリング15.6%約 35〜40倍約 5.0倍〜超大型
yutori12.3%約 30〜40倍約 5.0倍〜無/低小型
パルグループ14.5%約 16〜18倍約 3.0倍中型
ABCマート11.8%約 18〜20倍約 2.5倍大型
ダブルエー9.7%約 12〜15倍約 2.0倍小型

指標の読み解き方

  • PER(株価収益率): 投資回収にかかる年数。「人気のバロメーター」であり、高成長企業や人気企業ほど高くなります。
  • PBR(株価純資産倍率): 企業の純資産に対して株価が何倍か。「ROICが高い企業はPBRも高くなる」のが理論的な正解です。

2. 各社の割安性分析

ROIC(実力)とPER/PBR(評価)のギャップから、市場がその企業をどう見ているかを分析します。

A. 「プレミアム評価」グループ

ファーストリテイリング & yutori

この2社は、PERが30倍〜40倍前後と、市場平均(15倍程度)と比較して「割高」に見える水準で取引されています。しかし、その背景は異なります。

  • ファーストリテイリング:
    • 理由: 「確実性への対価」。世界展開による成長余地と、不況でも利益を出し続ける鉄壁のビジネスモデルに対し、市場は「高い金を払ってでも保有したい」と判断しています(クオリティ・プレミアム)。
  • yutori:
    • 理由: 「成長速度への期待」。現在は利益規模が小さいものの、売上の成長スピードが速いため、将来の利益拡大を現在の株価に織り込んでいます(グロース・プレミアム)。

【分析】

現状のPERだけで見れば割安ではありません。「成長が続くこと」が前提の価格設定となっているため、決算ごとの進捗確認が重要になります。

B. 「バランス(GARP)」グループ

パルグループホールディングス

  • ROIC 14.5% に対し、PER 16〜18倍

分析:

今回の5社の中で、最も「実力(ROIC)と評価(PER)のバランスが良い」状態にあると言えます。

ROICはファーストリテイリングに近い高水準(14.5%)でありながら、PERは市場平均並み(10倍台後半)に留まっています。これは、市場が雑貨事業の好調持続性に慎重であるか、あるいは再評価の途中である可能性を示唆しています。

統計的に見れば、実力に対して株価評価に割安感が残っている銘柄です。

C. 「適正〜ディスカウント」グループ

ABCマート & ダブルエー

  • ABCマート:
    • ROIC 11.8% に対し PER 18〜20倍。
    • 評価: 極めて適正な評価です。安定成長企業としての地位が確立しており、割安・割高の歪みが少ない状態です。配当などのインカムゲインを重視する投資家が支えているため、下値も堅い傾向にあります。
  • ダブルエー:
    • ROIC 9.7% に対し PER 12〜15倍。
    • 評価: 5社の中では最もPERが低く、指標上の「割安感」があります。
    • 要因: 堅実な経営ですが、yutoriのような爆発的な成長期待がないことや、時価総額が小さく機関投資家が入りにくい「流動性ディスカウント」がかかっている可能性があります。ニッチトップ企業の安定性を評価するならば、エントリーしやすい水準と言えます。

3. 結論:投資スタンス別の適合銘柄

ROIC(実力)とバリュエーション(株価評価)を統合した結論は以下の通りです。

  1. 割安な成長株を狙いたい場合:
    • パルグループ: 高ROICかつPERが過熱しておらず、実力と評価のバランスが良好。
  2. モメンタム(勢い)に乗る場合:
    • yutori / ファーストリテイリング: 指標上の割安さはないが、市場の期待値が高い「順張り」銘柄。
  3. 下値リスクを抑えて堅実に運用したい場合:
    • ダブルエー / ABCマート: 低PERでビジネスモデルが安定しており、長期保有向き。

編集後記:私の選択

最後に、今回分析した5社の中で、全てのデータを比較検討した結果、私が実際にポートフォリオに組み入れ、保有している銘柄を明記しておきます。

私の選択は、株式会社ダブルエー (7683) です。

他社のような派手な急成長や圧倒的な規模はありませんが、婦人靴というニッチな市場で見せている「AI活用による在庫管理能力(ROICの質)」の高さ、そして現在の指標面での「割安感(ダウンサイドリスクの低さ)」を評価しました。

市場の過度な期待が乗っていない分、長期的に安心して保有できる「堅実な成長株」として、ポートフォリオの一角を担ってもらっています。

【企業分析】アパレル・靴小売5社のROIC比較とビジネスモデルの考察

【企業分析】アパレル・靴小売5社のROIC比較とビジネスモデルの考察

企業の「稼ぐ力」を測る指標として、ROIC(投下資本利益率)の重要性が高まっています。特に在庫ビジネスであるアパレル・小売業界においては、単なる利益額だけでなく、「投下した資本(在庫や店舗設備)をどれだけ効率的に回転させているか」が経営の質を左右します。

本記事では、注目されるアパレル・靴小売企業5社(ダブルエー、yutori、ABCマート、ファーストリテイリング、パルグループ)について、ROICツリーを用いた分解を行い、各社のビジネスモデルの構造的な違いを考察します。

分析の視点:ROICの構成要素

本分析では、ROICを以下の2つの要素に分解して比較します。

【計算式】

ROIC = 税引後営業利益率(稼ぐ力) × 投下資本回転率(回す力)

  • 利益率: 売上に対してどれだけ利益を残せるか(ブランド力、原価コントロール力)
  • 回転率: 資産(主に在庫)をどれだけ速く売上に変えられるか(販売効率、在庫管理力)

1. 回転率重視のビジネスモデル

高い資本回転率(Asset Turnover)によってROICを高めているのが以下の2社です。

株式会社yutori (5892)

  • ROIC: 約 12.3%
  • 特徴: 高回転・高レバレッジ型

分析:

同社の最大の特徴は、2.19回という極めて高い投下資本回転率です。SNSマーケティングを活用したドロップ形式の販売等により、在庫滞留期間を短縮しています。

財務面では、借入金を活用したM&Aによる規模拡大を進めており、自己資本比率は低めです。アセットを最小限に抑えつつ、レバレッジを効かせて高い資本効率を実現する「アセットライト志向」の経営と言えます。

株式会社ダブルエー (7683)

  • ROIC: 約 9.7%
  • 特徴: 管理主導・高資本比率型

分析:

婦人靴「ORiental TRaffic」を展開。回転率は1.90回と、yutoriに次ぐ高水準です。

同社はAIを活用した需要予測と在庫コントロールに注力しており、欠品と過剰在庫の抑制をシステム的に行っています。yutoriとは対照的に有利子負債への依存度は低く、厚い自己資本を持ちながらも、高い回転率によって効率性を維持している点が特徴です。


2. 利益率重視のビジネスモデル

回転率は標準的ですが、圧倒的な利益率(Profit Margin)によって高いROICを維持しているのが以下の企業です。

株式会社エービーシー・マート (2670)

  • ROIC: 約 11.8%
  • 特徴: 店舗資産型・高収益モデル

分析:

回転率は1.01回と、他社と比較すると低水準です。これは全国に豊富な在庫を持つ店舗網を展開しているため、投下資本(分母)が大きくなりやすいためです。

しかし、営業利益率は約16.8%と業界トップクラスの水準にあります。ナショナルブランドの限定商品や、利益率の高いプライベートブランド(PB)商品の構成比が高く、値引き販売を抑制できていることが高ROICの主要因です。


3. バランス・規模の両立モデル

利益率と回転率の双方を高水準で維持している企業です。

株式会社ファーストリテイリング (9983)

  • ROIC: 約 15.6%
  • 特徴: 規模の経済 × サプライチェーン効率化

分析:

ユニクロ・GUを展開。ABCマート同等の高い営業利益率(16.1%)を確保しつつ、回転率も1.44回と高水準です。

一般的に企業規模が拡大すると回転率は低下する傾向にありますが、同社はRFIDタグの全品導入や物流自動化により、規模の拡大と効率化を並行して進めています。SPA(製造小売業)として完成された数値と言えます。

株式会社パルグループホールディングス (2726)

  • ROIC: 約 14.5%
  • 特徴: 事業ポートフォリオによる補完

分析:

3COINS(雑貨)とアパレル事業を展開。特筆すべきは2.01回という回転率の高さです。

商品サイクルの早い雑貨事業が回転率を牽引し、EC比率の高いアパレル事業が利益率を補完するという構造になっています。性質の異なる2つの事業を組み合わせることで、高い資本効率を実現しています。


比較・まとめ

今回分析した5社のROIC構成要素を整理します。

企業名ROIC (目安)利益率回転率主なドライバー
ファーストリテイリング15.6%中高規模×効率化の同時実現
パルグループ14.5%雑貨の高回転とECの利益
yutori12.3%超高SNS活用による在庫極小化
ABCマート11.8%超高PB商品とブランド力による利益
ダブルエー9.7%低中データ管理による在庫適正化

考察

ROICという単一の指標で見れば各社とも優秀な水準(日本企業平均5%〜6%と比較して)にありますが、その達成プロセスは大きく異なります。

  • 回転率アプローチ: yutori、パルグループ、ダブルエー
  • 利益率アプローチ: ABCマート
  • 総合力アプローチ: ファーストリテイリング

投資検討や競合分析においては、単にROICの数値の大小を見るだけでなく、「その数値が何によって構成されているか(マージンか、回転か)」を確認することで、企業の戦略やリスク特性をより深く理解することができます。

日中関係悪化でホテル株が急落からのREITを買い増し

日中関係悪化でホテル株が急落からのREITを買い増し

昨日から今日にかけて、市場がざわついています。 高市総理の発言に対し中国政府が抗議しており、その影響でインバウンド関連銘柄、特にホテル株が大きく売られる展開となりました。

市場はかなり悲観的になっているようですが、私はこの下落を「もしかすると売られすぎ(オーバーシュート)かもしれない」と捉え、あえてJ-REIT(ホテル系)を少し買い増ししてみました。

もちろん、この判断が裏目に出る可能性も十分あります。ただ、自分なりに現状と過去のデータを整理し、「リスクに見合う」だと判断したプロセスを、備忘録として残しておきます。

1. 何が起きているのか(現状の整理)

まず、株価急落の背景ですが、報道によれば中国政府から日本への「渡航自粛」の呼びかけ(特に留学生や団体旅行向けとの情報も)があったようです。

重要なのは、現時点では「渡航禁止(ビザ発給停止など)」という強制力のある措置までは至っていないという点です。 しかし、株式市場にはアルゴリズム取引も多いため、「中国」「日中関係悪化」といったネガティブなニュースヘッドラインに反応して、機械的に売り注文が膨らんだ可能性も否定できません。

2. 「2012年の尖閣国有化」を参考にしてみる

ここで少し冷静になるために、過去の似たような事例として「2012年9月の尖閣諸島国有化」当時の状況を思い出してみました。当時は日中関係が戦後最悪レベルまで冷え込み、激しいデモも起きました。

では、その時、訪日中国人は「ゼロ」になったのでしょうか? 日本政府観光局(JNTO)の統計データを確認すると、当時の中国からの訪日客数は、国有化直後の2012年10月〜12月にかけて前年同月比で約33%〜44%の減少となっていました。

つまり、かなり大きな打撃ではありましたが、ビジネス客や個人旅行客(FIT)の往来までは完全には止まらず、「半分以上は維持されていた」という事実は参考になります。

3. 「総崩れにはならない」と考えた理由

この過去のデータを踏まえ、「最悪でも他国・国内需要がカバーしてくれるのではないか」というシナリオを立てました。

  • 中国は「2位」: 現在の訪日客数のトップは韓国であり、中国は2番手。
  • 他国も好調: 台湾や欧米など、中国以外の国からの客足はが遠のく理由がない。

仮に2012年同様に中国からの客足が3〜4割減ったとしても、それはインバウンド全体から見れば数%〜10%未満の影響に留まる計算になります。韓国や他国の需要が底堅い以上、ホテル業界全体が「総崩れ(壊滅的な稼働率低下)」になる可能性は低いのではないか、と考えました。

4. 結論:不確実性を承知でリスクテイク

市場は「最悪のケース」を懸念しているようですが、私は「構造的な調整の範囲内かもしれない」という、やや楽観的なシナリオに賭けてみることにしました。

そう考えると、今の株価水準は「2ヶ月前くらいの価格」まで戻っており、悪くないように見えました。

もちろん、ここからさらに政治的な対立が激化し、本当にビザ停止などの措置が取られれば、このシナリオは崩れます。ただ、「アルゴリズムや恐怖感で過剰に売られているならチャンス」という逆張り的な発想で、今回はポジションを取ってみました。

まとめ

  • 渡航禁止ではなく自粛要請レベルであれば、人の流れはゼロにはならないはず。
  • JNTOのデータ(2012年)を見ても、最悪期で3〜4割減で踏みとどまっていた。
  • 中国以外の韓国・台湾・その他の国が好調なため、全体としては致命傷にならないと予測。

この「不確実性」をどう評価するかは人それぞれですが、私はこのようなロジックで動いてみました。 結果がどう出るかはまだ分かりませんが、これからの推移を冷静に見守っていこうと思います。

日本株の「思考ノート」を始めます

日本株の「思考ノート」を始めます

日本の株式投資と思考のプロセスを記録するため、ブログ『日本株・長期割安株 思考ノート』を開設することにしました。

現在、私は40代半ばに差し掛かろうとしています。 これまでの私の資産形成は、主にインデックスの積立投資が中心でした。米国株や金など、合理的で効率的なスタイルです。それはそれで、資産形成の土台となってくれました。

ですが、40代も半ばを迎え、もっと「主体性」を持てる投資がしたい、と考えるようになりました。

インデックス投資は合理的ですが、ある意味「市場にお任せする」スタイルです。それに対し、個別株投資は、自分自身で「企業価値」を見極め、投資先を「選ぶ」という、主体的な判断が求められます。

なぜその企業なのか。 数字(株価)の裏側にある、経営者の「想」いや、従業員の方々の「ぬくもり」、その企業が社会に提供しようとしている価値。

そういった「ストーリー」まで含めて、自分なりに悩み、考え、評価し、応援する。 そのプロセスを通じて、社会を見る解像度が上がり、私自身も成長できるのではないか。そう強く思うようになったのです。

このブログは、私自身の「日誌」です。

投資は「なぜ買ったのか」「なぜ売ったのか」という意思決定の連続です。 正直に言って、まだ専門的な分析や考察ができるわけではありません。 だからこそ、その判断を曖昧なままにせず、迷いや試行錯誤も含めて、きちんと「書く(言語化する)」ことで、自分の思考を整理したいと考えています。

後で振り返り、成功と失敗の要因を(自分なりに)考え、投資判断を研ぎ澄ますため。このブログは、未来の自分へ向けた「思考の記録」として活用していきます。

このブログで書いていくこと

このブログのメインテーマは、タイトルの通り「割安でありながら、将来の成長性も期待できる日本株」への投資です。

基本的に5年、10年と長く保有することを前提とした「長期投資」が方針です。 目先の株価変動に惑わされず、じっくりと企業価値を見極めていきます。

私が評価したい「想い」や「ぬくもり」が、長期的な「成長」につながり、それがまだ市場価格に反映されていない(割安である)企業。そんな魅力的な企業を発掘するための試行錯誤のプロセスを「思考ノート」として記録していきます。

ほかにも、日々の売買記録(ジャーナル)や、公開できる範囲でのポートフォリオのリアルな軌跡もお見せできればと思います。

最後になりますが、このブログはあくまで個人の投資記録であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断は、皆様ご自身の責任においてお願いいたします。

「主体性」をキーワードに、企業と、そして自分自身とじっくり向き合いながら、コツコツと考えたこと(思考)と記録を続けていきます。

どうぞ、よろしくお願いいたします。