yutori (5892) を一度売却した理由と、買い直すための「適正水準」。2,000円台でもまだ手を出さないわけ
株式会社yutori (5892) の株価は、上場来高値の6,000円台から、現在は2,000円台まで調整が進んでいます。 ピーク時から3分の1近い水準となり、「さすがに安くなったのではないか?」と監視リストに入れている方も多いのではないでしょうか。
実は、私自身もこの銘柄には強い思い入れがあります。 半年ほど前、実際にyutoriの株を保有していました。
yutoriという企業自体は大好きです。 SNSを駆使して在庫を極限まで回転させるビジネスモデルは革新的ですし、何よりそれを実行している「人材の熱量と質の高さ」は、他のアパレル企業にはない素晴らしい武器だと感じていました。
しかし、私はその後、全ての保有株を一旦売却しました。 企業として魅力的であるにもかかわらず、なぜ手放したのか。そして、暴落した今、なぜまだ買い戻さずに「監視」を続けているのか。
今回は、ファンだからこそ冷静に見ている「再エントリーの水準」について、私の個人的な目線を共有します。
1. なぜ、好きな企業を売ったのか
私が半年前に売却を決断した理由はシンプルです。「株価が、実力(利益)を追い越しすぎてしまったから」です。
当時の株価は、上場直後の熱狂と「将来への特大の期待」が織り込まれ、バリュエーション(PERなどの指標)が許容範囲を超えて上昇していました。 「素晴らしい会社だ」という気持ちと、「投資としてこの価格は正当化できない」という冷静な判断を天秤にかけ、泣く泣く利益確定(売却)を選びました。
現在の2,000円台への下落は、その時の「熱狂」が落ち着き、ようやく「現実的な事業評価」の入り口に戻ってきた段階だと捉えています。
2. 2,000円台でも残る「割高感」
「大きく下がった今なら、買い戻してもいいのでは?」 そう思われるかもしれませんが、私はまだ動いていません。
理由は、現在の2,000円台という株価でも、予想PERは依然として30倍〜40倍程度だからです。
- 一般的なアパレル企業のPER: 15倍〜20倍
- yutoriのPER: 30倍超
yutoriは高成長企業ですが、ビジネスモデルは在庫リスクを伴う「アパレル」です。IT企業のような利益率は出にくい構造です。 今の株価には、まだ「今後も驚異的な成長が続き、一切の失敗も許されない」という強い期待(プレミアム)が乗っています。
一度保有していたからこそ分かりますが、このプレミアムが乗っている状態での保有は、決算のたびに心臓が痛くなるような緊張感を伴います。 私としては、もう少し「安全域」が確保できるまでは、外から見守るのが賢明だと判断しています。
3. 私が狙っている「買い戻し」水準
では、具体的にどこまで下がれば、再び株主になりたいか。 あくまで私個人の目安ですが、以下のように考えています。
【ターゲット目安】 株価 1,500円前後(PER 20倍〜25倍水準)
ここまで調整して初めて、再エントリーを検討します。
この水準の根拠
アパレル業界の平均PER(15倍)に、yutori特有の「成長力」と「人材力」への期待値を少し上乗せして、PER 20倍〜25倍なら許容できるという計算です。
現在の2,000円台後半から見れば、あと30%〜40%程度の下落余地があることになります。 「そこまで下がるのか?」と思われるかもしれませんが、成長株の調整局面では、熱狂が冷めると一気に適正PERまで修正されることが珍しくありません。
結論:愛しているからこそ、適正価格を待つ
yutoriは、中長期的には日本のファッション業界を変えるポテンシャルがある、本当に面白い会社です。 だからこそ、高値掴みをして含み損に苦しむのではなく、「自信を持って長く持てる価格」で買い戻したいと思っています。
私のスタンスは変わらず、 「今はまだ注視。1,000円台半ばが見えてくるまでは、焦って手を出さない」 です。
もちろん、明日から急反発して置いていかれるリスクもあります。 しかし、一度利益確定できた余裕を持っていますので、焦らず、自身の規律(ターゲットプライス)に来るその時を、じっくり待ちたいと思います。
免責事項 本記事は筆者個人の見解であり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。