「現金」が腐る時代の生存戦略。あえて還元しない今日決算のコスモス薬品(3349)の再投資(スケーリング)力への期待
ポートフォリオを見渡すと、気づけば「自社株買い」だらけになっています。 先日記事にしたドーン (2303) やセブン&アイ・ホールディングス (3382) だけではありません。私の保有銘柄は財務が健全な銘柄が多いので、多くで稼いだキャッシュをせっせと株式市場に還流させています。
なぜ今、これほどまでに企業は現金を吐き出しているのか。 「東証からのPBR改善要請」はもちろん大きな理由ですが、私はもう一つ、企業を突き動かしている裏の理由があると考えています。
それは、「インフレ」です。
企業は「金やオルカン」を買えない
デフレ時代、企業にとって現金は「持っているだけで価値が保たれる安全資産」でした。しかし、インフレ時代は違います。物価が上がるということは、現金をそのまま持っていると、その価値が目減りしていくことを意味します。
ここで企業が辛いのは、個人投資家のように「インフレヘッジで金やオルカンを買う」という逃げ道がないことです。 事業会社が本業と無関係な金融商品を大量に保有すれば、株主や銀行から「本業に集中しろ」と怒られます。
つまり、普通の企業にとって、現金の使い道は実質2つしかありません。
- 本業に再投資する(店舗、設備、研究開発)
- 使い道がないなら、株主に返す(自社株買い・配当)
インフレだから投資できない現金はEPS・PER・PBR改善がかかる自社株買いで株価に変化させたほうがお得です。
インフレ下で現金を大量に保有していると、企業の企業価値が削られてしまう現象を、「キャッシュ・ドラッグ(Cash Drag)」と呼び、米国では2000年代後半に「インフレ率の上昇は株主還元(配当や自社株買い)の増加と正の相関がある」ことでいくつか学術論文がでてきます。日本もそのフェーズに要約なったよいうことでしょうか。
話はそれますが、一部の企業が財務戦略としてビットコインを保有する動きを見せていますが、あれも投機的な意味合いだけでなく、「現金のまま持っていることのリスク(価値の希薄化)」に対する、企業なりの必死の防衛策という文脈で見ると納得がいきます。ビットコインはトレンドを捉えたポジティブ感まで出せる企業にとって都合の良い投機金融商品です。
今日決算、コスモス薬品(3349)への期待
さて、今日は、私のポートフォリオの主力であるコスモス薬品 (3349) の決算発表日です。
市場のトレンドを見れば、彼らも「自社株買い」を発表してくる可能性は十分にあります。それが出れば、株価にはポジティブでしょう。 しかし、今の私は「逆に、そうじゃないほうがいい」と思っています。
私の理想の決算は、自社株買いなど直接的な株主還元施策ではなく、「どんどん出店のために現金を再投資し、それぞれの店舗が絶好調であること」が確認できる内容です。
企業にとって最も尊いのは、「株主に返す」ことではなく、稼いだ現金をすべて本業の成長に再投資し、それを上回るリターンを叩き出し続けることだからです。 「還元なんてしている資金があれば、店を出す。その方が将来の成長になる」 そう言い切れるだけの成長余地がまだあるのなら、無理に自社株買いをする必要はありません。コスモス薬品は配当利回りを抑え、株主優待すら廃止してきた経緯もあり、この方針に乗る可能性はあると思います。
再投資(スケーリング)力への期待
今日の夕方に出る決算。 もし「自社株買い」が出れば、それはそれで素直に喜びます。 しかし、もし「還元なし」だとしても、その分だけ「積極的な出店計画」や「増収増益」の数字が並んでいれば、私はそれを「まだまだ成長出来る意思表示」として、より強く支持したい気持ちが上まわっているような気がします。インフレに負けない速度で、事業そのものをスケールさせ続ける。 そんな「再投資」の力を見せつけてくれることを期待しています。
逆に言うと、自社株買いをどんどん行っている企業は資金の投資先がなく、成長性が難しいという見方もできてきそうで、インフレ環境下における自社株買いをどのように捉えるのかは深みがあるような気がしてきました。
コスモス薬品(3349)はポートフォリオで最大の主力銘柄だけに夕方の決算が楽しみです。