セブン&アイHD(3382)の「上げ底」は、世界を制する技術なのか?株主としての怒りと、投資家の冷静さが見た「聖なる曲線」。
昼時、ポートフォリオの主力銘柄の一つ、セブン&アイ・ホールディングス(3382)が運営するセブン-イレブンへ向かいました。 愛する投資先の売上に貢献するためです。棚に並ぶのは、信頼と実績の「セブンプレミアム」。 セブン&アイのマークの入った弁当を手に取り、「さすがセブンイレブン、インフレ下でも品質維持に努めているな」と感心してデスクに戻りました。
しかし、開封して割り箸を突き立てた瞬間、指先に衝撃的な違和感が走りました。
「……浅い。」
容器の底が、物理的に隆起している。 まるで地殻変動で大陸が浮上したかのように、底面が迫り上がっているのです。 一人の消費者として、怒りがこみ上げました。「プレミアムなのは値段だけか」と。
しかし次の瞬間、私の脳内で別の回路が繋がり、背筋がゾクリとしました。
私の目の前にある「上げ底」は、ただのプラスチックではありません。 それは、インフレ圧力に抗い、次回の決算でEPS(1株益)を押し上げるための「聖なる曲線」だったのです。
1. 怒りを「粗利率」に変換する
私は志向なるセブン&アイの株主です。この「聖なる曲線」を、財務諸表というフィルターを通して見直してみましょう。
仮に、このパスタの定価が550円、原価率が40%だったとします。 ここで、価格を変えずに、巧みな容器設計(二重底・絞り込み)で内容量を15%カットできたとしたら?
原材料費も15%削減され、粗利益率は劇的に改善します。 値上げもせず(客離れを防ぎ)、利益だけを二桁成長させる。
これを消費者として「詐欺」と呼ぶか、株主として「天才的なコストコントロール」と呼ぶか。
これこそが、ネットニュースには載っていない、実食した割り箸の先でしか感じ取れない「未公開データ(Proprietary Data)」です。
2. この技術(ノウハウ)は海を渡るか?
ここで一つの疑問が浮かびます。 セブン&アイは現在、北米事業(7-Eleven, Inc.)の強化、いわゆる「FTE戦略(フレッシュフード強化)」を掲げています。 果たして、この「高度な上げ底テクノロジー」は、アメリカへ輸出されるのでしょうか?
インターネット上のログ(公開情報)を調査したところ、以下の事実が判明しました。
インフラは輸出済み: 日本のお弁当製造パートナーである「わらべや日洋」が、既に北米(バージニア)に工場を建設・稼働させています。つまり、「聖なる曲線」を描くための金型とノウハウは、すでに太平洋を渡っています。

こんなガチなファンダに行き当たると思ってなかった。もう2年も稼働しているではないか。
互換性の問題(Compatibility Error): しかし、アメリカ人の胃袋(ハードウェア)は、日本人とは仕様が異なります。「Big Gulp(バケツのようなドリンク)」を愛する彼らに、日本の繊細な「実質値上げ」を提供すれば、暴動(炎上)というバグが発生しかねません。
3. 現在は「Phase 1:餌付け」段階
今のところ、北米セブンでは「日本のタマゴサンドが美味い!」というポジティブな評価が目立ちます。 今はまだ、日本品質の味で市場を掌握し、信頼を勝ち取るフェーズです。
しかし、シェアを独占し、インフレがどうしようもなくなったその時…… 彼らは「伝家の宝刀」を抜くでしょう。
北米のスラーピーのカップの底が、謎のドーム状に隆起し始めた時。 それこそが、セブン&アイの「グローバル・マージン・エンジニアリング」が完成し、株価が爆発する合図(Xデー)なのです。
日本人投資家から見ると、これは「未公開データ(Proprietary Data)」です。アクセスできるのは北米の投資家でしょう。彼らの発信はフォローする価値があります。
インフレへの「ヘッジ」としてパスタを食う
壮大な妄想を終え、私は現実に戻りました。 消費者としては、この弁当に対して怒り心頭です。「もっと食わせろ」と叫びたい。
しかし、株主としては、心の中でこう呟かざるを得ません。 「ナイス上げ底。その調子で利益率を死守してくれ」
私は、削られた弁当の15%分を「配当金」として取り返すため、黙って箸を進めました。
「食い物の恨み」は晴らすものではなく、運用でヘッジするものだ。
そう自分に言い聞かせながら、あっという間に食べ終わってしまった容器をゴミ箱に投げ入れました。
※本記事はジョーク記事です。 特定の企業の商品を批判するものではありませんし、実際の容器の仕様や北米戦略の裏側を保証するものでもありません。でも、大盛り無料キャンペーンはもっとやってください。切実に。

