現地現物:コスモス薬品 (3349) 視察で見た、後発参入者の組み合わせの美学と残酷なまでの優位性。
年明け、数字や本ばかりしていると、現場の感覚が鈍ります。 今日はPCを閉じ、以前から気になっていたコスモス薬品 (3349) の実店舗を視察しに、車を走らせました。
というわけで今年最初の「現地現物シリーズ」の記事となります。

私は関東在住なので、ドラッグストアといえば「ウエルシア」が強い地域にいます。 ただ、私は毎月20日にポイントで大量買いするような、いわゆる「ウエル活」をガチでやるほどストイックな性格ではありません。あのシステムは、徹底的に攻略できる「玄人」にとっては最強ですが、私のようなライト層には少しハードルが高いのも事実です。

そんな中、車で20分ほど走ったエリアに、九州からの刺客「コスモス薬品」の新店舗ができたと聞き、偵察に行ってきました。
結論から言います。 「この店は、既存の王者たちにとってホラー(悪夢)でしかない」 肌で感じたその「残酷なまでの優位性」をレポートします。
1. ファーストインプレッション:スマホという「壁」がない世界
店舗に入って最初に感じたのは、「客層の偏り」でした。 店内を埋め尽くしていたのは、おじいちゃん、おばあちゃん、そしてベテランの主婦層です。
最初は「高齢者に特化した戦略か」と思っていましたが、実際にレジを通った時、その認識は覆されました。
【レジの体験(UX)】 店員さんが商品をスキャンし、支払いは横の自動精算機に現金を投入するだけ。 スマホを取り出し、ロックを解除し、アプリを起動し、ポイント画面と決済画面を切り替える……そんな「儀式」は一切不要。 1000円札を入れて、お釣りを受け取って終了。
「スマホ決済よりも、現金の方が圧倒的に速い(レイテンシが低い)」
この事実は、私の中で盲点でした。 高齢者にとって優しいのはもちろんですが、実は「ポイ活疲れ」を起こしている現役世代にとっても、極めてストレスフリーな体験だったのです。
2. 3つの仕様が織りなす「組み合わせの美学」
コスモス薬品の強さは、一つ一つの要素ではなく、それらが組み合わさった時の「合理性」にあります。
- 現金のみ: 決済手数料と端末維持コストをゼロにする。
- ポイントなし: 販促コストとオペレーション教育をゼロにする。
- 税込表示: 計算の手間と、小銭トラブルをゼロにする。
これらは単独で見れば「不便」かもしれません。 しかし、この3つが揃うと、店舗運営におけるあらゆるノイズ(雑音)が消え去ります。
後発参入者の「残酷な優位性」
背筋が寒くなったのは、これが「後発参入者だからこそできる戦略」だからです。
ウエルシアやマツキヨなどの先行者は、長年かけて「ポイントシステム」や「多彩な決済手段」というインフラを構築してしまいました。これは資産ですが、同時に「巨大なレガシー(技術的負債)」でもあります。 彼らは今さら、「コスト削減のために明日からポイント廃止します」とは言えません。そんなことをすれば、既存顧客が離反するからです。
そこへ、しがらみのないコスモス薬品が、「最適化した仕様(現金×ポイントなし×安値)」を引っ提げて、身軽に殴り込んでくる。 既存店からすれば、自分たちが重い装備(コスト)を背負って戦っている横で、最適化された装備の競合が客を奪っていく。 この構造は、競合他社にとってはまさにホラーです。
首都圏においても、この「組み合わせの美学」によって作られたポジションは、極めて堅牢だと感じました。まだまだ店舗を増やしていきそうな感覚があります。
3. カセットガスの誘惑
理屈を並べましたが、結局のところ、私もその「合理性」に完敗しました。
今日の戦利品報告です。 コスモス薬品では、ガスストーブ用に「カセットコンロのガス(3本入)」を買いました。 予定にはなかったのですが、デカデカと書かれた税込価格の安さに気づけばカゴに入れていました。
一方、帰りに寄ったいつものウエルシアでは、何も買いませんでした。店頭の割引ポップにすでに私の頭は冷めてしまってました。(必要なものはコスモス薬品で買ってしまったのももちろんありますが。)
ストイックにポイントを攻略するウエルシアと、何も考えさせてくれないコスモス。 カセットガスを握りしめながら、投資家としてこの行方を引き続き注視していきたいと思います。
▼ 以前の分析記事との「答え合わせ」 今回の偵察で、以前デスク上で分析した「なぜコスモス薬品は高収益なのか?」という仮説が、現場の感覚と完全に一致しました。 もし、この「ホラーなまでの強さ」の裏側にある数字ロジックに興味がある方は、ぜひ以前書いたこちらの記事も合わせて読んでみてください。