コスモス薬品(3349)、まさかの「ホテル」参入。好決算ながら崩れた成長アルゴリズムと、見えないシナジーへの困惑。
決算発表の直前に書いた記事で、私はこう書きました。 「小手先の金融テクニックはいらない。本業(ドラッグストア)への再投資で成長を見せてくれ」と 。
そして夕方、蓋を開けてみました。 数字は悪くない。売上高は前年同期比6.2%増、営業利益も増益を確保しています 。 しかし、同時に飛び込んできたのは、予想の斜め上を行く「ホテル事業への参入」というニュースでした。

株価は正直です。この発表を受けて、私のポートフォリオのドローダウン(含み損)は拡大しています。なぜ市場はこれを嫌気したのか、冷静に考えてしてみます。
「横展開=成長」という神話の崩壊
今回、市場が最も失望したのは、数字そのものではなく「成長アルゴリズムの変更」に対してでしょう。
これまでのコスモス薬品の勝ち筋はシンプルでした。 「成功した小商圏型メガドラッグストアのモデルを、未開の地にコピー&ペースト(横展開)し続ける」 これだけで企業は無限に成長できると、私を含めた投資家は信じていました 。
しかし、今回のホテル参入は、経営陣自身が「今のドラッグストア一本足打法の延長線だけでは、将来の成長に限界がある」と判断した証左に見えてしまいます。 投資家が勝手に描いていた「未来の織り込み条件(コンセンサス)」の前提が崩れた。株価が下げた本質的な理由はここにあると思います。
ホテル事業は「インフレ対策」だが……
もちろん、ロジックとしては理解できます。 インフレ時代において、価格転嫁が難しいドラッグストアに対し、ホテルは価格を柔軟に変えられる「インフレ対応ビジネス」です。インバウンド需要を取り込む狙いも分かる。
しかし、私が(そして多くの投資家が)抱いたのは、
「どのよう、ドラッグストアと何のシナジーがあるのか?」
という素朴な疑問です。 店舗の横に併設するとしても、物流や商品開発で相乗効果があるようには見えません。 今の現状におけるシナジーが語られないままの参入は、多角化というより「迷走」に見えてしまう。決算説明会があるわけではなく、単に組織変更という形でIR・そこから解釈を広げた記事が流れてきただけ。

これだけの情報だとどうにでも解釈できてしまう。これが株価で10%近いドローダウンになるのですね。残念でなりません。
「他の日本株」が良すぎる問題
ここまでの好決算を出しても売られるのは、今の日本株市場のレベルが高いことも関係しているように思えます。 銀行や商社のようにマクロ経済に乗って、明確な資本政策や成長ストーリーを提示する企業が他にゴロゴロしています。 「迷い」が見える企業に資金を置いておくほど、今の投資家は甘くありません。
とはいえ、私はまだ売却ボタンは押していません。 ホテル事業の詳細や、それが全体の数字にどう寄与するのか。正式なIRや次の決算説明資料が出てくるまでは、判断を保留しようと思います。
ドローダウンは痛いですが、これが致命的な「仕様変更」なのか、それとも一時的な「バグ」なのか。 もう一四半期はこのシステム挙動をモニタリングしてみます。