「IR不足」批判の正体。コスモス薬品(3349)を巡る「事実」と「想像」の切り分けについて

「IR不足」批判の正体。コスモス薬品(3349)を巡る「事実」と「想像」の切り分けについて

株価が大きく動いた日には、企業に対する厳しい意見を目にすることがあります。 「会社は何も説明していない」 「IRが不親切だから、株価が適正に評価されない」

直近で言えば、私の主力株であるコスモス薬品 (3349) がそうでした。ドラッグストア事業ではそれほど悪い決算ではなかったものの、ホテル事業への参入発表に対し詳細なシナジー説明がなかったことで市場は動揺し、株価は調整しました。 ホルダーとして、資産が減る痛みや「もう少し丁寧に説明してくれれば……」と思う気持ちは痛いほど分かります。

ただ、この下落を「企業のIRのせい」と断じてしまう前に、一度冷静になって、手元にある「事実」と、市場が抱いた「想像」を切り分けて整理してみたいと思います。

「事実」と「想像」の境界線

今回、会社側が発信した「事実(ログ)」は以下の点だけです。

  • 「ホテル事業を行う組織を立ち上げた」
  • 担当者は「インフレが進むなか、経営方針もそれに合わせて転換する必要がある。ドラッグストア事業と補完できる事業に成長させたい」と話した。

これ以上でもこれ以下でもありません。 一方で、ニュースやSNSに書かれている以下のようなストーリーです。

  • 「ドラッグストアの出店余地がなくなった」
  • 「本業の成長に限界が来たから、多角化せざるを得なくなった」
  • 「ドラッグストアとホテルにシナジーなんてあるわけない」

これはあくまで、情報の空白を埋めるために生まれた「想像」に思えます。

経営陣は「ドラッグストアの成長は終わった」とは一言も言っていませんし、月次の出店ペースや売上推移というデータを見ても、減速の兆候(成長限界のログ)は出ていません。

もちろん、市場の懸念が当たっている可能性もゼロではありません。残念ながら、真実は分かりません。インサイダー情報のない未来はいつも不確実です。

コスモス薬品のように、昔から「説明会はやらない」「優待も廃止する」「余計なことは言わず、ひたすら店を出す」というスタイルの企業を買ったのは、誰あろう私。 平時はその「質実剛健さ」を称賛しておきながら、有事(株価下落時)にだけ「もっと愛想よく説明しろ」と怒るのは、筋が通らないだろうに。

「寡黙な職人」にお金を預けたのに、突然「接客が悪い」とクレームを入れているようなものです。 その「無愛想さ」も含めて、私たちはリスクを織り込んでおやってるはずである。(いちおう)

矛盾するようですが、一方で株価がその不確実性を織り込みに行くのはそれは「事実」としては正しいとも思えます。不安に対して市場は売りという形で株の価値の評価われることはそれはそれで受け入れないといけないと思います。

バフェット流「沈黙」の解釈

企業はどこまで株価に気を使うべきなのでしょうか。 ウォーレン・バフェットは、バフェットからの手紙で、「株価対策のためのIR」を一貫して否定しています。

「私たちは株価をコントロールしようとは思わない。事業をコントロールするだけ」

コスモス薬品もまた、昔から「余計なことは言わず、結果(数字)で示す」というスタンスを貫いてきました。 もし今回、彼らが慌てて「株価維持のための弁明資料」を出していたら、それはそれで彼ららしくない。 この「無愛想さ」も含めて、私たちはその不確実性をリスクとして許容し、資金を投じているはずです。

「不確実性」という霧の中で判断

もっとも、丁寧な説明があれば、今回のようなショック安は防げたのかもしれません。そこは企業の改善点かもしれません。

しかし、株価が下がった時に「IRが悪い」「説明不足だ」と損失の理由を企業に転嫁するのは、投資家としてあまりかっこいい姿勢とは言えません。 インサイダーでない私たちには、開示された情報と数字以外に真実は分かりません。その「不確実性」という霧の中で判断を下すのが、株式投資というゲームです。

「読みが外れた」のか、それとも「市場が間違っている」のか。 答え合わせはまだ先です。

私は当初、この企業の出店余地と収益力を計算し、割安だと判断してエントリーしました。 今回のホテル参入という新しい変数が加わりましたが、今のところ「本業の成長」というメインの計算式が崩れたという明確なデータはありません。

市場の動揺(ノイズ)に惑わされず、自分の計算(ロジック)を信じられるか。 その実践には一人省みるという孤独が避けられそうにありませんね。

昨日(この記事を書いている朝)も3%ほど下げて始まりました。なんというか久しぶりのキリキリモードです。「投げたい…」「いや、大丈夫…」これは、割に合ってるんだろうか…

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